人生と「体」が本当に変わるには、10年必要仮説】令和元年5月27日のフェイスブック投稿より転記

私の母は、20才で嫁ぎ、21才で私を産み、染色の家業を手伝い、20代からずっと、20kgも30kgもある重い荷物を運び、屈み姿勢の作業を続けてきました。

  

40代で膝が変形し、O脚になり、腰痛を起こし、病院や整骨院通いが絶えない人でした。私は、若い母が、早くに老化していく様子を見ていたのに、何もしてあげることができませんでした。60代には「人工関節を入れないと、痛みはとれない」と、整形外科で言われていたのです。

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9年前の4月。2010年に私が主宰してはじめた体操教室に、母にも参加してもらうことにしました。少しずつ、運動を続けてきました。

   

でも、母は、少し良くなったと思うと、仕事や家事で無理をしました。良くなってもすぐに痛みを再燃させる…ということを2年間、繰り返していました。急に歩けなくなって、杖を頼りに暮らしていたこともありました。

   

2014年7月からは、週一回の教室を運営することになり、母は、ふたたび毎回参加するようになりました。今年で丸5年。今では、正座ができるようになり、小走りもできるくらい、回復をしました。手術はしていません。今年3月まで、会社の代表取締役として、会社の舵取りも行ってきました。

    

母は、私の一番の生徒で、10秒ポーズ開発メンバーの一人でもあります。母は、たまたま娘が理学療法士であったために、娘からセルフケアのアドバイスを受けることができたし、娘である私は、巷に流れる健康情報について、母がとらえ違いをしていた時には、正してあげることができました。そんな、ゆるい関係を続けてきました。 

でも、実はこの間、私は、母に、『何度も、何度も、同じこと』を言い続けていたのです。大事なことは、幾つもありません。大事なことは、至ってシンプルです。なのに、その知識や情報が、消化吸収されて、肚落ちして、体が変わっていくまでには、かなりの時間がかかりました。

  

なぜなら、母が暮らしのなかであたりまえに続けてきた、今までの悪い癖が、いつまでたっても消えなかったからなのです。私は、同じことを言い続けていたのに、分かったようで、分かっていない、そして悪い癖をくり返す…ということがしばしば繰り返されました。

   

ちょっと話は変わりますが。

   

私が三味線と小唄をやっていることをご存知でしょうか。私は、中断しながらも、足かけ20年習っているんです。私も実は、同じようなことをしていました。私の師匠は、邦楽の唄い方とは、こういうものだと、『何度も、何度も、同じこと』を、私に言っていたのです。

   

それなのに、私は、まったく上達しなかった。10年以上。じつは、私は、小唄という文化になかなかなじめず、小唄はとても興味深いけれども辛い経験でもあったのです。でも、しがみつくように、続けていました。

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そんな私にも、転機は突然やってきました。祖父が昭和の初めに娘(私の叔母)のために買い、私が譲り受けた古い三味線の音色に、あるとき、涙が出るほどの衝撃を受けたのです。「この三味線は、こんなにいい音を鳴らしていたのに、私はもう何年も、気がついていなかった!」と。

 

それから、私は、人前で演奏するようになり、そのおかげで、練習の質が変わり、苦手だった曲にも愛着がわくようになりました。自分ではとうてい無理だと思っていた難易度の高い曲にも、正面から向き合えるようになりました。ここに辿り着くまでに、10年。

学びから、行動を起こし、結果を出すまでには、何度もアウトプットをして、フィードバックを受けて、微調整、修正をくり返していかなければいけません。初心者が、『好きでもないこと』を学習し、そして熟達するには、時間がかかるものなのです。気持ちよく楽しく続けられる環境と、ちょっとした根気がいることなのです。

    

とはいえ、母が嫁いでから40年かけてつくってきてしまった、体と行動の癖を、1/4の時間の10年で回復させることができたのですから、大したものかもしれません。

        

「手術が必要だ」と言われるほどに悪化していたはずの、膝の痛みを克服した今。母は、次の段階に進もうとしています。「ああ、やっと通じた!」という感覚が私に生まれました。私が三味線の音色に感動した、あの瞬間の衝撃に似た感覚です。

  

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さて、次は、あなたの番です。新しい世界に、不快が生じるのを覚悟して、今まさに、飛び込もうとしている、私の大事な人たちへ。

 

10年後、あなたは何才ですか。そのとき、どんな生き方をしていたいですか。今の延長線上にある毎日を、送りたいと思いますか。

  

もし、いま、「つまらない生き方をしている」と感じているなら、今から始めれば、10年後には、そりゃあいろいろ、間にはいろいろあるでしょうけれど、10年後には、まったく違う生き方や人生を送ることが、できるはずです。

  

人は、そして人の体も、ほんのちょっとしたことの積み重ねで変えていくことができます。楽ではないかもしれません。辛抱と粘り強さは必要です。でも、ある環境設定をしておけば、困難さえも無理なく超えていくことができます。「がんばらなくちゃ!」と自分を鼓舞しなくても、自然な力が働いて、自分を運んでくれるような不思議な感覚のなかで、前に進んでいけるようになるのです。

   

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10秒ポーズは、こうした、福井で働く女性のみんなの、たくさんの失敗と成功のなかでうまれた、叡智の結集です。誰一人として、できない人をつくらないことにこだわって作った、運動教育プログラムでもあります。

 

これからはもう、どれほど運動が苦手で、運動音痴で、体が弱い人でも、仕事が忙しい人でも、私たちのように10年もかけなくていい。なぜなら、私たちは確信をもって、寄り道しない近道を、お伝えすることができるからです。

  

ね。

さあ人生、楽しんで♡いきましょう!

                    ふくいのゆうこりん♪(福田裕子)